【中小建設業のカクシン】未来は高卒採用にあり

【中小建設業のカクシン】未来は高卒採用にあり

高卒採用

高卒採用に取り組んだところで、惨敗は目に見えている。
労力をかけるだけ無駄で、それなら中途で即戦力を採用した方が良い。
仮に採用できたとしても、誰が教えるんだ。どうせすぐに辞めていく。

高卒採用にネガティブな印象を払拭できない中小建設業の経営者は多いはずです。

しかし、『高卒採用に建設業の未来がある』と伝えたいです。

今回から【中小建設業のカクシン】として、建設業の、それに付随する工事業の、未来が明るくなるための核心に迫っていきたいと考えています。
そして、シリーズの読者が、この業界が革新する確信を抱いてもらえると幸いです。

建設業に魅力なし!

いきなりアンチで強気な表現からのスタートしたことを深くお詫び申し上げます。

ただ、

高校生はそう思っている

ということだけは最初に理解しておいてください。

建設業は今、深刻な担い手不足に陥っています。
・職人の高齢化による労働力(質)の低下
・高齢化に伴う大量退職者による労働力(量)の低下
・そして、若手入職者の減少による労働力(質・量)の将来的な低下

建設業の担い手不足は年々高まる一方ということです。
本当に『このままではヤバい』のです。

だからこそ、未来のために少しでも多くの若手入職者を増やさなければいけないのです。

職人は辛抱強く育てる必要がある、と実感している経営者や親方は多いはずです。
それならば、急務だということです。

職人の仕事はAIやロボットに置き換えれない仕事なんだと自負している方、それであればなおさら急務だということです。

では、何に急いで取り組まないといけないのか。

確信をもって言える1つが『高卒採用』だということです。

他業種の同等レベルの会社と闘え!

高卒採用に取り組まない最大の理由と言えば、

『大企業と比べれば何をしても中小企業は勝てない』です。

正直に言うと、もちろん勝てません(が、正確に言うと勝てないことはありません)。
ただ、お聞きしたい!

『あなたがもし今、高校生なら大企業に行きたいですか?』
『あなたが今から転職するとしたら、大企業に行きたいですか?』
『あなたは誰しもが大企業に行くべきだ、と考えますか?』

いやぁ~、と少しでも頭をよぎりませんでしたか?

つまり、
『高校生の中にも、保護者の中にも、先生の中にも、中小イズムを持った人はいる』ということです。

当然、中小界隈の私たちにとっては、そんな学生がいたらとても貴重です。
何としてでもウチに来てもらいたい!と思います。

しかしながら、彼らの多くは他業界へと流れていくのです。

最も多いのが製造業です。

ということは、中小建設業が高卒採用で意識しなければならない戦い相手というのは、製造業をはじめとする他業界の中小企業だということです。

少しは気が楽になりましたか?少しは戦えそうと思ってもらえましたか?

労働環境の改善は登竜門!

高卒採用において、少しでも労働環境が良いことに越したことはありません。

特に改善すべきは、給与と休日日数です。

建設業では、給与が日給月給(いわゆる日給)のところが少なくはありませんし、休日は日曜のみのところもあるくらいです。

これでは、学生は魅力を感じません。
学生にとっては足きり求人です。

学生にとっては完全週休二日制は最低条件に近いでしょう。

つい先日、日本建設業連合会は2035年までに完全週休二日の実現を目指すと宣言してました。

これでは遅い!

業界で大きな力を持つ団体や組織の動きを傍観しているだけでは手遅れです。

そこで、中小ならではのスピード感を武器にするのです。
つまり、社長の鶴の一声です。

『新人は週休2日にしよう!』

たったそれだけです。

さらに、少し先の未来を考えてみてください。
10年後には完全週休二日制になる予定で、おそらくそれは急に切り替わるのではなく、徐々に切り替わっていくでしょう。
もうすでに完全週休二日制の現場は増えてきているので、6~7年くらいすると7~8割がたの現場はそうなっているでしょう。
つまり、新人が現場を任すことのできる職長になる頃には、ほとんどの現場が週休二日制になっているということです。

どうしても土日に入らないといけない現場が発生することもあるでしょう。

そのような現場が入れば代休等でうまく調整してあげればいいじゃないですか。
そのくらいの調整で経営を脅かすような大きな問題が起こることはありません。

そして、あとは給与さえクリアすれば、学生の検討の土俵に乗るということです。

給与で土俵に乗れないのは業界の責任!

大体どのくらいの給与水準があればよいのか、地域により多少の増減はあるので、
その辺りは直接高校の進路指導の先生に聞くと良いでしょう。

『基本給で〇〇万円以上の求人がほとんどです。』と正直に言ってくれます。

しかしながら、どう頑張っても新人に対して〇〇万円の額は用意できない、という中小建設業、中小工事業の会社がいるとすれば、それは本当に業界の責任に他なりません。

言い換えると、安い金額で受注する競合他社の存在ということです。

急に原因を他責にしたので、あまりの急ハンドルに話の流れから吹き飛ばされた方もいるのではないでしょうか。
ただ、そういった一面も否定はできないということです。

私たち建設業は、工事業は、物売り商売ではありません。
生身の人間が汗水たらして努力した労働が売り物です。

その労働に対してある一定の対価はしかるべきであり、越えてはならない最低ラインがあるべきなのです。

しかし、仕事欲しさに労働力を安売りする同業がいると、このバランスは下方へ下方へと流されていきます。

なので、他責も一理ある、ということです。

とはいえ、この負の連鎖を断ち切らなければ建設業に未来はありません。

そういった意味でも、私は『高卒採用』が一つの解決の糸口にあると考えています。

すべての中小建設業が、すべての中小工事業が半ば強引にでも高卒採用に乗り出す。
そうすると、労働力への対価のバランスは上方へ上方へと流れていきます。

そして、労働環境も是正されていく。

それがこの業界の未来を明るくすると確信しています。

新人に〇〇万円の対価を支給することを前提に会社の状況を見直してみてください。
どこをテコ入れすれば、経営が成り立つか見えてくるはずです。

そこに是非、くさびを打ち込んで下さい。

そうすると、この業界の未来は明るくなっていきます。

最後に

最後に、中途採用の市場についても言っておきたいことがあります。

中小建設業、工事業では、とはいえ即戦力が欲しいに越したことはありません。

ただ、この経験者の中途採用市場は、業界内で人材をただ取り合っているだけにすぎません。

どこかが採用すると、どこかは痛手を負う。

喜んでいると、どこかに流れて痛手を負う。

一喜一憂。

そして、中途採用にいくらお金を注ぎ込んでいますか?

ちなみに、高卒採用はハローワークを経由するので、コストは0(ゼロ)です。
発生するとすれば、高校へ訪問する出張費と求人票を郵送する雑費くらいです。

もうこんな戦い止めませんか?

そこで、次の【中小建設業のカクシン】では、中途採用のカクシンに迫っていきたいと考えています。

青木 慎介

経営者の「変化したい」の想いに応えるため、アドバイザー/実行支援者として活動。その中で、建設業に深く携わり、中小企業単体では太刀打ちできない問題があり、その根が深く、複雑に絡まっていることを実感。そこで、建設業を明るくするため、建設業に変化を起こすべく活動。 株式会社三光電氣 経営企画室 室長

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