人材不足が顕著になった建設業。
多くの人材サービス企業が建設業に乗り出してきています。
中小建設業が人材獲得に積極的になると同時に、
人材サービス企業も応募対象となる人材拡大に積極的になります。
そうなると、中途採用市場で流動する人材の量は増える一方で、
質が下がる可能性が高まるということにもなります。
かつ、中途採用市場が活発に動いているので、
対策をしなければ離職率増加の恐れすらあるということです。
いわば、中途採用市場は人材を引き抜く側と引き抜かれる側のゼロサムゲームです。
やっとの思いで採用し喜んでいると、数年たたずに辞めてしまった。
そんな中途採用市場に踊らされるのはもう止めにしませんか?
【中小建設業のカクシン】では、建設業の、それに付随する工事業の、未来が明るくなるための核心に迫っていきます。
そして、第二回では中途採用市場の核心に迫っていきます。
このシリーズの読者が、この業界が革新する確信を抱いてもらえると幸いです。
踊らされる中途人材!ミスマッチではなくセミマッチへ!
中途採用市場に踊らされているのは何も企業側だけではありません。
中途人材側も踊らされているのです。
そして、これは早期離職に繋がりやすい原因でもあるのです。
求人媒体経由で人材を採用できたとします。
その人材は様々な企業の求人情報を閲覧するため、あるいは、応募をするために、
求人媒体に情報登録をしなければなりませんので、登録済みだということです。
良心的な人材サービス会社であれば、その人材が採用完了となればステータスは『転職予定なし』となり、求人紹介は停止されます。
しかし、そのようなステータスが無い、あるいは、有っても意味を成していない場合、その人材には延々と他社のスカウトメールが届いたり、求人情報が届いたりします。
常に、他社の求人広告を目にするということです。
新しい職場に入社すれば、その新しい環境による精神的ストレスが誰にでも発生します。
それでも、それを乗り越え仕事を続けることができる人材もいれば、何かミスや叱責によりモチベーションが低下してしまう人材もいるでしょう。
そんな時に、他社からのスカウトメールや求人の紹介が来ると、どうでしょうか?
隣の芝生が青く感じることだってあるでしょう。
これは何も人材サービスを批判しているわけではありません。
ビジネス上、そういった原理が働くということです。
人材サービスの理想のゴールは、人材と企業との理想のマッチングです。
そのために人材サービス会社は人材を流動させるのです。
これが中途採用市場の『核心』です。
しかし、過熱しすぎた採用市場では、人はミスマッチに過敏となり、次に期待できるマッチングを求め再離脱しやすくなります。
適応や順応が生まれにくくなります。
そのため、たとえそのマッチングが『セミマッチ』であっても、人材はミスマッチとして過剰認識してしまうのです。
では、中小建設業はどのように対処すればよいのでしょうか?
中小建設業の選択①即戦力がどうしても欲しい場合は素直に契約
人材確保の緊急性が高いのであれば、すぐにでもベテラン人材が必要であれば、それはもう人材サービス企業に頼るほかありません。
高いお金を払ってでも人材の獲得に急ピッチで乗り出すしかありません。
お金で新人を育成する時間を買うしかないのです。
ただ、ほぼ未経験に近い人材からは比較的容易に応募はきますが、ベテラン人材を確保することは難しいでしょう。
協力会社を探したり、一人親方に声をかけてみたり、という策は置いておいて、ベテラン人材からはそう簡単に応募は来ません。
とはいえ、求人媒体を出さなければ機会すら得られないので、求人媒体を出す他ないのです。
ただ、そこまで緊急性が高くないのであれば、話は別です。
中小建設業の選択②中途採用に手抜きは無用
手抜きすることなく、地道に採用活動を広げていくのです。
ただ、緊急性が高くもないのに、あれこれと有料の求人サービスを利用すると、それは中途採用市場を過熱させるに他なりません。
無料サービスを使えばよいのです。
時には、一回ぽっきり50万円で、求人広告をずっと掲載できます!
応募があれば掲載を止めるので教えて下さい!
という耳心地の良い営業を受けることもあるでしょう。
私の知る限り、成果が出た企業はありません。
採用できなくても黙っていればずっと掲載できるし良いかも!と思った時点で相手に乗せられているということに気付いて下さい。
相手もそのくらいのことには気づいています。
その蜜を吸わせるためにベタ塗りで待ち構えているのです。
まだカブトムシの方がマシです。
だって、蜜を吸えて良い思いができているのですから。
手抜きをせず無料の求人サービスに時間をかけて、思いのたけを込めて求人内容を登録することです。
少しお金はかかりますが、自社HPも必須です。
採用専用のHPがあると理想ですが、自社HPでも十分です。
既にHPがあるのであれば、採用情報のページを追加してもらいましょう。
あるいは、ちょっと見栄え良く更新してもらいましょう。
無料サービスと自社HPをしっかり丁寧に作り込んでさえいれば、年に1人くらいは応募があるでしょう。
え、たったの1人?
入っても離職の可能性のあるサービスに投資する費用対効果を考えても、十分良い数値です。
もう一度言いますが、緊急性が高くないであればです。
中小建設業の選択③やっぱり高卒採用
中途採用について意見しましたが、やっぱり緊急性が高くないのであれば、結論は高卒採用に取り組んだ方が絶対に良いです。
求人を発行するのは当然無料なので費用対効果が良いです。
また、中長期的にも見ても良い打ち手になります。
毎年4月に新人が入社し、数年が経てば、毎年その母集団から数人はベテラン人材が生まれるのですから。
無料で毎年新人とベテラン人材を獲得できる。
かなり費用対効果が高いと思いませんか?
というわけで、高卒採用については下記に記載していますので是非ご覧ください。
中小建設業の選択④中途採用をするのであれば事業拡大
やっぱり高卒採用という結論なのですが、中途採用を賢く活用できる場合もあります。
それは『事業拡大』をしたい場合です。
高卒採用の良さは先ほど述べました。
では、中途採用の良さはどこにあるのでしょうか?
それは、『異なるバックグラウンドを持った人材を確保できる』ことです。
ここ数年の中で、中小建設業の中でも倒産の危機として、電気通信工事が話題に上がりました。
5Gの登場と新たな携帯キャリアの登場により、市場が急成長しました。
そのタイミングで独立した工事会社もあるくらいです。
しかし、現在は基地局設置も落ち着き、6Gは空から飛ばす話もあるくらいで、この市場が一気に縮小しました。
中小建設業はどこもそうなのですが、実は細かく守備範囲が分けられています。
電気工事会社なら何でもできるだろう、と思う方も多いかもしれませんが、できない工事もあったり、あえて手を出さない工事もあったりします。
専門性が高いということは強みではあるのですが、その強みが市場の変化によって一気に弱みへと反転してしまう危険性が基地局市場で浮き彫りになったのです。
そういった時に、あるいは、そうならないために手を打ちたい、と考えた時に、異なるバックグラウンドの工事経験を持つ人材がいれば、ものすごく頼りになります。
中途人材が活きてくるということです。
こういった観点であれば、中途採用は魅力があります。
採用された中途人材は、初めは経験が異なるため戸惑うこともあるでしょう。
しかし、共通した基礎はあるので、技術定着も新人よりは早いでしょうし、社会人経験が豊富なので人間的にも頼りになるでしょう。
最後に
以上のように、中途採用市場の核心を突き、使い方の参考にしてもらえるとありがたいです。
そうして、中途採用市場の過熱を抑え、ほど良い湯加減になることを願っています。
ミスマッチはもちろん、人材にとっても企業にとって良い影響を与えないと考えています。
しかしながら、市場が過熱していまい、『セミマッチ』であってもミスマッチだと認識されることには大いに疑問を抱いています。
セミマッチ状態から健全に人材と企業が寄り添い合い、マッチングしていく過程は人材にとっても良い経験となりますし、企業にとっても人材がより魅力を感じる環境を構築するきっかけになるため基盤強化が図られると考えています。
業界にもっと『セミマッチ』という言葉が浸透してもいいのではないでしょうか。
人材と企業のセミマッチ、という言葉を残し、今回の中小建設業のカクシンを締めくくりたいと思います。
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