ポストコロナ社会でのリスクヘッジ経営

ポストコロナ社会でのリスクヘッジ経営

ポストコロナ社会でのリスクヘッジ経営

私たちはどこかで感染症と先進国を隔てて考えていたのかもしれません。経済成長とともに科学や社会インフラも発達し、危機認識の中から感染症の存在が希薄なものとなっていたことに今実感しています。

だからこそ、今これからのポストコロナ社会における企業経営では、危機への認識をより高次元なものにしリスクヘッジ力を高めることの必然性が増しています。

しかしながら、危機は完全な予測が難しいからこそ危機である、ともいえます。

それであれば、危機に陥った際に舵を切る経営方針とその出来る限りの準備を整えておくことがリスクヘッジとなります。今回のブログでは、ポストコロナ社会における危機に強いリスクヘッジ経営について考えてみましょう。

危機への認識

はじめに、危機の定義を明確にします。

企業における危機とは、

その組織の存続が危ぶまれるような事象が発生し、その状態が一定期間継続し回復が容易ではないと見込まれること。

そのため、

リーマンショックや今回のコロナショックは明確な危機ですが、株価の一時的な急落など一時的なマイナス影響が予測される場合は危機とはいえません。

過去の危機

過去どのような危機が発生してきたか(どのような事象が危機を発生させたか)を考えるとき、あなたの頭の中には下のようなグラフがイメージされるのではないでしょうか。

過去の経済危機

この図は日経平均株価の推移と日本経済に影響を与えた事象を示しています。

つまり、

経済に大きく影響を与えた経済危機です。

大企業の強固な経営基盤をも揺るがし市場のプレイヤー全体に影響を与える危機であり、マクロな危機といえます。

しかし、

危機への認識を高めるということは、そういったマクロな危機だけでは事足りません。企業の特性に応じて影響を受けるミクロな危機にまで認識を高めることが大切なのです。

地域性のある危機

近年、地域性は危機の影響を左右するものとして広く認識されるようになってきました。

スーパー台風や河川の氾濫など局所的に大きな被害が生じる事例や、ウィズコロナ社会では自治体間の財務力、判断力、行動力の差が露呈しました。

危機に陥った際に受けることのできる経済支援の規模の違いに応じて、内部留保額を変動させるなどの柔軟なリスクヘッジが求められるのです。

危機下経営でのリスクヘッジの3C

私たちは、ポストコロナ社会において危機の認識を高めなければなりません。

そして、

万が一危機に陥った際に、延長線上の経営を突き進んではいけません。

危機に応じて臨機応変に経営のかじ取りをしなければならないのです。

ただ、

これまでの歴史から危機下の経営において欠かせない方針があることを私たちは学んでもいます。

それが、リスクヘッジ経営の『3C』です。

この『3C』は、

売上が激減した状態が持続する低収入状況下を想定した経営方針といえます。

リスクヘッジ経営の3C

リスクヘッジ経営の3Cとは、Cost(低コスト)、Connection(絆)、Challenge(好変化)を意味します。

Cost/低コスト経営

固定費を低コスト化させることはリスクヘッジの常套手段です。

これまでに危機を経験し、事務所を地代の安い地域へ移転した企業が少なくはありません。また、本社機能を地代の安い地域へ分散させた企業もあります。

新型コロナウイルスによる危機を経て、株式会社パソナが主な本社機能を東京都から兵庫県の淡路島へ段階的に移す決定をしました。

この固定費削減では、家賃・地代、人件費がその対象となる傾向があります。

そのため、国による経済支援もこの2つを対象にすることが多いです。

今回の新型コロナウイルス下での国家支援では、この家賃・地代における金銭的支援が決定的に遅れをとりました。

そのため、集客力やブランド力のある地代の高いエリアに出店している飲食店へのダメージに拍車がかかったと考えられます。

一方で、

変動費の低コスト化も無視できません。

低収入状況下では、大量仕入れなど通常収入時に変動費を抑え込む仕組みが働きません

つまり、変動費率が上がってしまう傾向にあるということです。

固定費と変動費の両軸で低リスク化を図ることが求められるのです。

Connection/絆経営

次に、絆の強さがリスクヘッジにつながります。

顧客、従業員、仕入先・パートナー、地域など関りが深いほどその絆が深い方が好ましいです。

低収入状況下の生存力において、絆の強さはとても重要なファクターです。

例えば、今回の新型コロナウイルス危機により顧客が遠のいた企業は多いです。

飲食店・観光業はその典型的な例です。

また、競争が激しくコンタクトを図らなければ、他の競合に顧客が流れてしまいやすい、事務機やシステムソリューション系の卸売業なども同様です。

Webを活用したコンタクトを活発化させるも、基本的には顧客からのアクションを待たなければならなくなります。以前のような直接的なコンタクトで潜在ニーズをつかむことが難しくなっています。

つまり、

顧客の商品・サービスの選択が一層厳しいものになったといえます。

また、従業員においても同様です。

危機により低収入状態が持続すると、人件費は削減の対象となりやすいです。事業者は助成金を活用し雇用に対する金銭的支援を受けるものの、従業員が非正規雇用者であれば売上や業務量に応じてその就業時間は減少ていきます。

正規雇用者であっても、業界、企業、経営、職、将来等に対する様々な不安が頭をよぎり、従業員の精神的不安定へと陥っていきます。

このような就業時間の減少や不安は、従業員をより収入の得られる企業へ、より満足のできる企業へと導いていきます。

つまり、

このような状況下においては、企業の従業員に対する求心力は減少するということです。

だからこそ、

顧客、従業員、仕入先・パートナー、地域との絆を常日頃から強めることで、危機下での求心力を維持、強いては向上させることがリスクヘッジとなるのです。

Challenge/好変化経営

最後のCは、好変化経営です。

変化を好み果敢に変化に挑む経営がリスクヘッジとなります。

危機に陥り低収入状況下となれば、延長線上の経営では存続できません。

迅速に判断し低収入状況に適応すると同時に、低収入からの脱却を図らなければならないのです。

そこで求められる変化のスピード感に組織がついていくことができるか、その鍵は組織に好変化適正があるか、変化を好み果敢に変化に挑むことができるかにかかっています。

生命が世代交代のたびにDNAを変異させることで厳しい環境に適応できた個体のみが生存する進化の過程と同様に、企業もまた常日頃から変化に挑むことが低収入状況下でも生存できる演繹的に証明された道しるべなのです。

最後に

今回紹介したリスクヘッジ経営の3Cはあくまでも概要論です。

その実現の具体策は、企業が陥った危機の状況や企業の特性に応じて種類に富みます。

そのため、このdジャーナルが少しでも読者の方の参考になるよう、私が支援している企業の具体的な例も今後紹介していきたいと考えています。

楽しみにしていただけると幸いです。

変化に挑むパートナーdarwin

青木 慎介

darwin/代表、株式会社三光電氣/経営企画室/室長。 鳥取大学医学部卒業、鳥取大学大学院医学修士課程修了、名古屋商科大学大学院経営学修士課程修了。 中小企業向けのコンサルティング会社を経て、2019年darwin創業。経営者の「変化したい」の想いに応えるため、アドバイザー/実行支援者として変化に直接的に関与。歴史ある中小企業や老舗旅館、建設会社などの支援を多く手掛ける中で、その企業の背丈にあった適切な変化を促し持続可能性と成長力を高めるノウハウと実績あり。

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