KPIからKCRIへ:確実な目標達成の管理指標

KPIからKCRIへ:確実な目標達成の管理指標

KPI→KCRIへ:確実な目標達成の管理指標

今回は、目標達成のためのプロセス管理としてKPI(Key Performance Indicator)管理を行っている企業の役に立つ情報を共有します。

わかりやすくするために、営業部門のKPI管理を例にあげたいと思います。

一般的なKPI管理

営業部門で売上5,000万円を達成する、という目標を設定したとします。

その実現をより確実なものにするために、KGIとKPIを設けてプロセスマネジメントする手法はよく知られています。実際にこのような手法でマネジメントしている営業部門も多いと思います。

このとき、プロセス管理のため、まずKGI(Key Goal Indicator)として「売上5,000万円」が設定されます。

次に、「決裁者プレゼン:〇件」、そのために「提案資料の提出:〇件」、そのために「初回面談:〇件」、というようにKPIを設定していきます。

応用的には、BSC(バランス・スコア・カード)を作成して「売上5,000万円」の達成を、財務、顧客、業務、人材の4つの視点から紐解き、それぞれの視点においてKGIとKPIを設ける企業もあります。

この際に、ポイントとなることは、定量性を持たせることと、KPIのアクションの主体は自社であることです。

まずは、定量データにすることで、目標10件中現在5件の達成率50%と指標化することができます。

そして、アクションを自ら起こし目標達成に向けて積極的に取り組むことで、目標達成をコントロールすることが目的なのでKPIのアクションの主体は自社となります。

これらにより、目標達成に直結した営業活動とマネジメントを期待するためのKPI管理なのです。

KPI管理の問題

しかしながら、実際の企業ではKPIを管理したとしても目標達成できない企業を私は多く見てきました。

営業担当者が評価のためにアクションだけはしっかりと行うものの目標達成には至らない、というような状態です。

このような場合に、その原因が設定したKPIの質、マネジメントの質、アクションする側にある、という結論になりやすいです。

そのため、定期的にKPIを再設定したり、KPIに沿ったマネジメントのための教育がなされたり、営業担当者向けの教育や意識づけがなされたりします。

しかし、これらの対策では徒労に終わることがあります。

それは、そもそもKPI管理の特性的な欠点をカバーできていないからです。

その欠点というのは、前述したKPIのアクションの主体は自社とする、という前提です。

この前提がKPI管理の空回りを引き起こす原因となるのです。

営業担当者は顧客がどう動こうが自分は評価につながるアクションをやっている、という自分本位な行動パターンに陥りやすくなるのです。

KCRI(Key Customer Result Indicator)

KPIの特性的な欠点を解決するために登場するのが、KCRIです。

KCRI:Key Customer Result Indicator、鍵を握る顧客の成果指標です。

つまり、営業担当者がKPIとなるアクションを行ったその産物として、顧客側が起こす行動やその行動により顧客の成果となる内容を指標として管理するものです。

そして、1点注意書きです。

このKCRIは私が勝手に言っている言葉です。

研修やコンサルティングの際に、イメージしてもらい馴染みやすくするために勝手に作りましたので、その点はご了承ください。

KCRIの利点

KCRIの何が一番良いのか、それは顧客のために、という顧客貢献を指標管理していることです。

顧客目線でKPIを作成したところで、アクションの主体が自社である限り、その顧客目線は真の意味での顧客目線でなくなってしまうのです。

しかし、KCRIが顧客側がとる行動を指標としているため、その顧客目線がカチタとなり営業のプロセスに組み込まれ、達成することで顧客貢献につながります。

だからこそ、KGI、目標達成がより確実なものとなるのです。

同じくKCRIを使って、「売上5,000万円」を達成する指標管理を構築すると次のようになります。

KPI「初回面談:〇件」→KPI「提案資料の提出:〇件」→KCRI「顧客担当者が決定権者へ資料を使って説明:〇件」→KPI「決裁者プレゼン:〇件」という具合にまずはKCRIを入れ込んでみます。

すると、どうでしょうか。

確かに、顧客の担当者が決定権者へ資料を使って説明すれば、決定権者へのプレゼンの実現性が高まりそうです。

しかし、それだけではありません。

「提案資料を提出する」というアクションの意義が変わります。

顧客担当者が決定権者へプレゼンを催促したい、と思ってもらえるような提案資料はなんだろうか?と顧客目線で考えることになりますし、顧客担当者のキーマンとしっかり関係を構築しておかないといけないな、とも営業担当者は考えるようになります。

ただ、自らの評価のためにアクションを起こす、ということが無くなります。

このように考えていくと、前後のKPIの質や、最後のKPI後のKCRIは何だろうか、と考えるようになり、より実現可能性高いプロセスマネジメントが実現するのです。

最後に

このKCRIがなぜ生まれたのかというと、実は営業担当者の葛藤を解消してあげたい、と思ったことが発端でした。

顧客目線でありたい、と考えている営業担当者数多くいると思います。

しかしながら、目標達成の期限が迫ったり、マネジメントの圧力が強くなると、どうしても数字を追いかけることが目的となりやすいことがコンサルティングをしていて見えてきました。

営業担当者が常に顧客目線で顧客に貢献したい、と言う気持ちを抱き続けながら楽しく営業を行い、それでいて成果に繋がってほしい、という想いがこのKCRI誕生につながりました。

実際に、使っていただいている顧客からは良い反応をいただいています。

そして、今回は営業部門を例にあげましたが、これは何も営業の話だけにはとどまりません。

是非、企業の目標達成にKCRIを活用してみてください。

その上で、コツがつかめない、どう構築してよいのか分からない、あまり成果に繋がらない、という方がいましたら、ご遠慮なくお問い合わせください。

Web会議などで1時間程度お時間をいただければ、少しでもお役に立てるよう私の持っている知見やノウハウをお伝えしたいと思います。

~変化に挑むパートナーdarwin~

青木 慎介

darwin/代表、株式会社三光電氣/経営企画室/室長。 鳥取大学医学部卒業、鳥取大学大学院医学修士課程修了、名古屋商科大学大学院経営学修士課程修了。 中小企業向けのコンサルティング会社を経て、2019年darwin創業。経営者の「変化したい」の想いに応えるため、アドバイザー/実行支援者として変化に直接的に関与。歴史ある中小企業や老舗旅館、建設会社などの支援を多く手掛ける中で、その企業の背丈にあった適切な変化を促し持続可能性と成長力を高めるノウハウと実績あり。

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